■患者さんの訴え
「左下の歯が痛い」との訴えでした。
■治療内容
左下第一大臼歯の深い箇所に大きな虫歯を認め保存不可能。骨の量は十分あるためインプラントでの機能回復も可能であったが上顎に機能していない親知らずがあったので歯牙移植を行った。
■治療経過所見
移植当時当院にはCT撮影装置がなかったために術前に親知らずの細かい歯根形態は確認できなかった。抜歯してみると親知らずの歯根は大きく曲がっており左下第一大臼歯抜歯部に収めることができなかったために口の外で移植する親知らずの根をカットし逆根管充填も行ったのちに移植した。骨の中に収まる歯根部分が短くなり予後に不安があったが12年経過した現在でも全く問題なく機能している。
■備考
将来的にアンキローシス(骨性癒着)・外部吸収・歯根破折が起きる可能性があります。
上顎臼歯部では、上顎洞が近接している場合には適応外となる場合もあります。
上顎への移植は術後に上顎洞炎が起きるリスクがあります。
親知らずの形態はCTにより術前に確認いたしますが歯根形態によっては手術中断の可能性があります。
一部付着が得られない場合は部分的に歯周ポケットが深くなる可能性があります。
清掃しにくい場合には、補綴治療によって改善が必要になります。
喫煙は歯肉の血流を阻害し、失敗のリスクが上がるため禁煙を勧めております。