■患者さんの訴え
「左上の前歯が腫れた」
■治療内容
左上側切歯の歯根端切除術を行った。
逆根充剤はスーパーボンド®
■治療経過所見
他院で数年前に根管治療をしたが治癒せず何度も根管治療を繰り返していたが再度腫れたとの訴え。術前の根管充填の状態は先端付近まで充填材も詰まっているが根の先には大きな透過像(黒い影)を認める。何度も根管治療を繰り返していること、上顎2番目の前歯は根の先がわずかに外側(このレントゲンでは右方向)に曲がっていることが多く根管治療に使用する器具が届きにくい歯であることから歯根端切除術を適応した。外方向へ曲がっていた根の先を切除したのちに逆根管充填を行った。6年後の現在も全く問題は生じておらず骨が再生されているのが確認できる。
当院で歯根端切除術を行うすべての患者さんに術後の経過観察として1年後、2年後、3年後のレントゲン撮影をお願いしているが3年後まできっちり覚えていて経過観察目的で受診していただける患者さんは多くない。何か違うきっかけで受診した際に「あの歯大丈夫ですか?」とレントゲン撮影をお願いし経過を確認することがほとんどである。
トラブルがなくても1年後、2年後、3年後のレントゲン撮影による経過観察をお願いしている。
■備考
歯根端手術は安全な手術だが合併症を生じる可能性がある。
手術部位が細菌感染する可能性があり抗生物質の内服が推奨されている。手術する歯によって神経を損傷する可能性がある。(下顎第二小臼歯でリスクが高い)
術後の腫れや痛みは2〜3日をピークに落ち着いてくるが症状が長引く場合は歯科医の診察を受けてください。
当院での歯根端切除術は可及的に歯根切断量を短くするよう努めているが歯根が短くなることで動揺(歯のグラグラ)する可能性があります。
神経のない歯に行う処置のために術後、歯根破折のリスクがあります。
歯根自体が腐っている場合や確認できないヒビなどがある場合再発する恐れがあります。