■患者さんの訴え
「右下が腫れた」との訴えでした。
■治療内容
右下の第一大臼歯の根が割れていたために抜歯、左上親知らずを移植。
■治療経過所見
下顎は左右ともに第一大臼歯までが残存している。一方上顎は左右ともに親知らずまで失われることなく全ての歯が残っている。噛む相手のいない親知らずを移植(引越し)することで抜歯した右下第一大臼歯部には歯が得られ(元は左上親知らず)噛む機能を維持することが出来た。受診時患者さんは右下にはインプラントを希望していたが上顎に機能していない歯が複数余っていることを説明したところ移植治療を希望した。
高齢であることを心配していたが現在80歳を超えているが全く問題なく機能し続けている。
■備考
将来的にアンキローシス(骨性癒着)・外部吸収・歯根破折が起きる可能性があります。
上顎臼歯部では、上顎洞が近接している場合には適応外となる場合もあります。
上顎への移植は術後に上顎洞炎が起きるリスクがあります。
親知らずの形態はCTにより術前に確認いたしますが歯根形態によっては手術中断の可能性があります。
一部付着が得られない場合は部分的に歯周ポケットが深くなる可能性があります。
清掃しにくい場合には、補綴治療によって改善が必要になります。
喫煙は歯肉の血流を阻害し、失敗のリスクが上がるため禁煙を勧めております。